宝石サンゴ

元来、「珊瑚」と呼ばれたのは宝石として使われるサンゴのことです。深海に生息し、樹枝状の群体を作ります。石灰質で緻密で固い骨格を作り、その骨格を研磨して「宝石」に出来るような種を「宝石サンゴ」といい、その製品を「珊瑚」と呼びます。

現在世界中で「宝石サンゴ」として漁獲されているもののほとんどが八放サンゴ亜綱サンゴ科に属する種類で、主には地中海産1種類、日本産3種類、ハワイ産3種類などが漁獲されています。それ以外には「クロサンゴ」として知られる六放サンゴ亜綱ツノサンゴ目に属する 数種も、主にハワイ近海で水揚げされ、加工されています。

もうひとつ、あまり知られていないもので「ゴールドコーラル」と呼ばれる宝石サンゴがあります。こちらも主 にハワイで水揚げされていますが、これは一般には「サンゴ」として認識されていないスナギンチャク目の一種で、名前の通り、黄色から金色の骨格を持 つ種類です。ただ、一般に「宝石サンゴ類」といえば最初に挙げたサンゴ科のサンゴ類のことを指します。

宝石サンゴ類はほぼ例外なく深海産です。といっても数千メートルともなるような深さではなく、せいぜい数百メートル から千メートルくらいの「浅い深海」に生息します。ちなみに、日本でよく知られている「アカサンゴ」や「モモイロサンゴ」は相模湾以南の水深200~300mからその生息が記録されています。

また、宝石に加工される骨格は白からピンク、赤など美しい色を呈し、非常に硬くて緻密であり、太い根元の部分は簡単に折れることはあり ません。緻密な骨格を作るため成長は非常に遅く、枝の伸びる速さは「アカサンゴ」で2~6㎜/年程度と言われています。こんなに硬い骨格を作りますが、柔らかいソフトコーラルに近い仲間になります。

サンゴの成長は、樹枝状の「群体サンゴ」の周囲を泳いでいる「単体サンゴ」が、一定の大きさになると「群体サンゴ」に吸着される事によって成長を続けていきます。「単体サンゴ」の中でも、感覚機能を持ったもの、平衡機能を持ったもの、外敵に対して保護機能を持ったもの、磨耗に対する保護機能を持ったものというように、それぞれ役割を持って「群体サンゴ」に成長します。

潮の流れが速いほど、非常に美しい枝を作る為、「珊瑚」は自然が生み出した深海の芸術品と言っても過言ではないでしょう。

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