沖縄・宮古島産

沖縄珊瑚

「沖縄」「珊瑚」と言えばまず思い浮かぶのは青い海に揺蕩う幻想的な光景を思い浮かべるのではないでしょうか?

沖縄の美しいサンゴ礁は観光スポットとして全国的に有名ですから。

しかし、そのサンゴ礁が近年大きな被害を受けています。

 

サンゴ礁の現状

環境省は今年、沖縄県の西表島周辺海域で生きたサンゴが海底を覆う割合を示す「被度」50%以上のサンゴの分布が全体の0・1%にまで減少していると発表しました。

この調査は海水温の上昇に伴う白化現象を受け、現在のサンゴ分布を把握する目的で実施されました。

サンゴの白化後の状態が安定した16年12月以降の衛星画像データなどを用いて、サンゴ礁の分布図を作製され、17年12月から今年1月にかけて潜水、目視で観察されました。

その結果を受け、県サンゴ礁保全推進協議会の中野義勝会長は、「予想を超えた速度でサンゴ群集の劣化が進んでいる」と生態系への影響を危惧されています。

 

主な原因は2016年に発生した大規模なサンゴの白化現象の影響とみられていて、きめ細かい対策が必要となっています。

 

白化とは?

サンゴはクラゲやイソギンチャクの仲間で、炭酸カルシウムでできた白い骨格を作ります。

そしてもう一つの特徴として、サンゴの中には「褐虫藻」という小さな藻類が生息していて、それらはサンゴの体のなかで光合成をしながら生きています。

褐虫藻はその名前のとおり茶色に近い褐色をしていています。

そのため、褐虫藻が中で生息している多くのサンゴは茶色っぽい色をしているのです。

この褐虫藻は光合成をし、その結果得た栄養分もとに珊瑚は生きることができ、その代わりにサンゴも日光の当たる場所や光合成に必要な成分を褐虫藻に提供し、まさに共存しているのです。

このように、絶妙なバランスでサンゴと褐虫藻は共生関係を築いているのです。

 

 

近年問題になっているサンゴの白化現象は、この褐虫藻がサンゴの中で消化されたり、体の外に排出されたりすることでサンゴの体内から失われ、サンゴのもともとの色である白い骨格が透けて見える現象をいいます。

 

白化の原因

サンゴが白化する原因としては、強い光、高水温、低水温、低塩分濃度などからくるストレスが知られています。

これらのストレスにより、褐虫藻が行う光合成反応に悪影響することで、活性酸素が発生する現象が起こります。

活性酸素は、DNAやタンパク質にダメージを与えます。サンゴの細胞内で様々な障害を引き起こし、サンゴと褐虫藻の共生関係の絶妙なバランスが崩れてしまうのです。

また、褐虫藻がサンゴの体外に排出されるだけでなく、褐虫藻自体がストレスなどにより本来の褐色の色素を失ったり、小さく縮小してしまうなど、細胞に異常を起こして死んでしまう事で白化する事もあるようです。

 

白化したサンゴは…

 

白化したサンゴは死んだサンゴだと思っている方も多いかもしれませんが、実はまだ死んでいません。

白化したサンゴを良く観察してみると、褐虫藻を排出したり、褐虫藻が死んでしまったりして透明になったサンゴのポリプがまだ生存いるのがわかります。

そのため、例え白化しても環境条件が良くなれば、サンゴの体内で再び褐虫藻が増えて茶色などの本体の元気な珊瑚の色を取り戻すことが出来ます。

軽度な白化であれば毎年夏の時期に見ることが出来ます。

白化すること自体は珍しい現象ではないのです。

しかし環境が改善される事がなく、白化後もストレスに晒され続けると、白化したサンゴは再生することなく、残念ながらそのまま死んでしまいます。

体内に共生していた褐虫藻を失い栄養分を貰えなくなったサンゴは、褐虫藻から栄養を得られない代わりに体内に貯蔵していた脂肪を分解して必要なエネルギーを補います。

そのため、白化して弱ったサンゴは貯蔵している体内の脂肪の量が劇的に減ります。

そして貯蔵した脂質が尽きてしまうと、サンゴは死んでしまいます。

 

サンゴ礁を守るために

沖縄県では失われつつあるサンゴ礁を守り、増やすためにサンゴの養殖活動が行われています。

さらには、白化しないサンゴを育てる事にも成功しています。

高い水温の中でも「白化しないサンゴ」は、サンゴ養殖の第一人者として知られる金城浩二さんの手で育てられました。

白化しないサンゴは沖縄の海に生息する「ウスエダミドリイシ」というごく普通の種類のサンゴですが、金城さんは年月をかけて厳しい環境に耐えられるよう育て上げました。

きっかけは、7年前の産卵観察会で、子どもたちに近くで産卵を見てもらおうと、金城さんは水槽の深い場所にあったサンゴを浅い場所へ移動させたそうです。

太陽光の影響で多くのサンゴが白化して死んでしまいましたが、一部、回復したものがいました。

その生き残った個体を選抜して増やし、さらに浅いところへ移動させることで、少しずつ環境に適応させていったのだそうです。

作業を繰り返すこと4年、強い太陽光がそそぐ水面近くでも白化しないサンゴを育てることに金城さんは成功したのです。

この白化しないサンゴは近年の世界中のサンゴ礁の白化問題、その救世主になってくれるのではと、大きな期待が寄せられているようです。

 

沖縄の宝石サンゴ

さて、沖縄で有名なのはサンゴ礁だけではありません。

沖縄は宝石珊瑚の産地としても有名で、特に宮古島周辺では高品質の赤珊瑚が取れたようです。

しかし、近年では中国の密漁船による乱獲によって、大きな被害が出ていることが水産庁の調査で明らかになっています。

高額で売買される赤珊瑚を求め、中国漁船は2011年ごろから沖縄周辺に出没するようになりました。

平成13年10月~14年1月がピークで、最大で246隻もの中国漁船団が確認されたそうです。

これを受けて、水産庁が15年8、9月、沖縄近海のサンゴの生息状況が調査され、その結果赤珊瑚などに大きな被害が出ていることが発表されました。

平成10、11年度での同様の調査では赤珊瑚など131群体が見つかっていましたが、今回の調査ではは5群体に激減していたとの事。

沖縄では使わない中国漁船の青い漁網も、海底で86枚も見つかったそうです。

調査された26地点では、計147枚もの漁網が見つかり、密漁の結果サンゴが折れてしまったり、漁網がサンゴに絡まったりしているケースもあったと。

中国漁船の漁網が散乱している海底は、ほとんどサンゴが見られず、真っ白になっています。

サンゴの被害は壊滅的なものではないそうですが、宝石サンゴは成長が遅く乱獲に弱いため、酷い状況には変わりがない模様です。

日中間の取り決めで中国のサンゴ漁規制が強まり、平成14年秋ごろには中国漁船はほとんど見られなくなったとの事ですが、1997年に日中漁協協定を結んだことで、沖縄の西側の海域では中国漁船を取り締まれない状態が続いていて、現地の方達は不安を捨てきれないようです。

残念ながら、宝石サンゴは一年に数ミリしか育たず、サンゴ礁のサンゴのように養殖のめども立っていません。

そのため、沖縄の赤サンゴは今後珍しい物になるかもしれません。

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